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税務署からの質問状、税務調査対応

 今回は税務署からの質問状(SP2DK)への回答と税務調査対応の流れ、留意点についてです。


 一定の周期で税務調査が多い年がありますが、2023年は特に件数が多いです。弊社のクライアントの中でも、半数以上の会社が税務署からの質問状(SP2DK)を受け取っています。前回のピークは2021年で、コロナ禍による財政の悪化がその背景にありました。税務署はかつて汚職が多かったものの、近年では汚職撲滅が最も進んだ役所の1つだと思います。しかし、税務職員への税収ノルマは依然として厳しいのが実情です。今年は、税務職員に対し、「自身が担当している会社すべてに、質問状(SP2DK)をとにかく出せ」というお達しが出ていると聞きます。

 ローカルスタッフに任せていて、気づいたら追徴になっていた、なんてことにならないように、インドネシアの税務調査の流れと留意点を知っておくことが重要です。


 税金の還付請求をすると、税務調査が始まることはよく知られていますが、還付請求をしてなくても税務調査は行われる場合があります。

 また、今年はいきなり税務調査ではなくて、まずは質問状(SP2DK)が届くことが多いです。質問状には、通常7~15程度の項目の質問が記載され、その回答と関連する書類の提出が求められます。たとえば、「決算書には給与が2,000 Juta Rp 計上されているが、PPh21の税務申告は1,900 Juta Rpしかされていません。この差異について説明してください」といった様な質問が記載されています。差額が税務上問題なく、合理的に説明できれば、OKです。

 SP2DKは税務調査そのものではありませんが、回答後には一応の結論書(LHP2DK)が発行され、税務署の見解や修正申告の勧告が示されます。ただし、これは「徴税決定通知」ではないため、勧告に従う必要は法的にはありません。

 「LHP2DKの勧告にしたがって納税しない場合は、本格的に税務調査をやります。ノルマがあるので協力してください。納税してくれれば、税務調査にならないように、税務署内で調整します」と、半ば脅しのようなことを言われることがあります。税務署側の見解は滅茶苦茶だけど、税務調査をやられると更に面倒だし、受け入れて納税してしまった方がいいのか、と悩む方も多いと思います。そんなとき、弊社はLHP2DKで妥協して納税しない方がいい、とアドバイスをしています。

 税務の担当官は頻繁に変わるため、過去の取り決めが守られる保証はありません。通常2~3年周期変わるのですが、税務調査は過去5年間遡れるのです。また、過度に妥協すると税務署からの注目を浴びやすくなる(税金を取りやすい会社だと思われる)可能性も考慮する必要があります。

 

 LHP2DKが発行されたあと、そのまま何事もなく終わることもあれば、税務調査に発展することもあります。税務調査に発展する場合は、税務署から「税務調査開始通知書(SPPP)」が発行されます。


 税務調査の流れと注意するポイントは、次回以降見ていきたいと思います。

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